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有瀬
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おもな活動ジャンルは、モノカキ。
レビューやコラムが中心です。
あと、相方専属だったコスカメラマンのおしごとを、今後、ほかの方も撮影分野に入れたいなと思います。

一哉の検定なんぞつくってみました ^^
ブログパーツ用に加工してあります。
よかったら持ち帰ってやってくださいね。

ほかのラプリたちの検定も、時間が許せばつくるかも。

【お持ち帰りはこちらから★ミ】

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もともと涙腺よわいんやけども、
今日は、これだけは書いて眠りたい。

うすっぺらい言葉じゃなくて、伝えたい気持ちがものすごくあるのに、
伝える手段がもどかしい。うまく届かない気がして。

両手いっぱい、力いっぱい、からだぜんたい、あたりいったい、
抱えきれないくらいの ほんきの ありがとうを。ふたりに。
そして、大好きな人たちが笑顔でいられる、やさしい世界が
ふたりのまわりを包んでくれますように。


…以下、拍手にしたかった書きかけの一哉SSを続きに。
いろいろあって原稿があがらなかったので、今日明日苦しんで
このSSもあとで味付けしておきます。

【テノヒラ(仮題)】

鳴り続けるお囃子の音と、雑踏と、屋台で客引きをする声がうずまいている。
すっかり更けてしまった夜の街。さんさんと降り注ぐ提灯の明かり。
むっとする空気で額を伝う汗に、目を細めながら。ただ、一人の後ろ姿を探す。

一哉くん。

しぶしぶながらも同行してくれた愛しい人は、いま。あたしの近くにはいない。


とん、と腰のあたりにぶつかる人影。
母親を追いかける、小さな子供。
あたしの目の前でくるくる回って、人ごみの中に消えていった。
残像として残る、帯の赤色に──遠い日の自分がかさなる。


『お父さん』
『お母さん』

『苗ちゃん』

きんぎょ地の白い浴衣が好きだった。
夏になると、お祭りが近づくと必ずだだをこねて。
苗ちゃんと色違いの帯をつけて、夜店並ぶ通りに繰り出したっけ。

いつもと違う装いをして、綺麗な髪飾り・巾着を踊らせて歩くいつもの街。
大きなアトラクションなんていらない。
仲良くしている友達も、ちょっとだけ背伸びして。
近所のおばちゃんたちが、にこにこしながら迎えてくれる。
非日常の大切な風景が、毎年。この場所にあった。


じわっ。
目じりに涙がにじんでくる。

遠き日の憧憬。
もう決して戻ることのない景色。家族の思い出。
つかまえようと手を伸ばせば、遠慮なくぶつかってくる人ごみに体をとられるだけ。
行き場をなくした手にかかる、高い場所からにらまれる視線へ謝罪をし続けているうちに。
どうしようもなく寂しい気持ちでいっぱいになった。


ひらひらと浮かぶ、赤い帯の残像。
振り切ろうと目を閉じ、うつむきかけた体を、不意に抱きとめられる。

「……全く……ちょっと目を離したら……!」


『むぎ』


耳元に響くのは、家族サービスが苦手なお父さんの声じゃない。
着付けが意外と上手なお母さんの声でもない。
わたあめを半分こしてた、苗ちゃんの声でもない。

「……むぎ?」

たったひとりぼっちになったあたしを、救い上げてくれた人。
最悪だった出会いの瞬間から、いつも気にかけてくれて。
あたしがピンチのときには必ずかけつけてくれ、ここまで歩いてくるための勇気をくれた人。
優しく包んで、愛してくれた人。

「か……ずや……くん……」

──この暗闇から、唯一あたしを救い出してくれる人──。


伸ばされた腕に夢中でしがみついて。
ただ一哉くんの胸に頭を押しつける。ここだ。ここにいるんだって。

悲しいわけじゃない。涙なんて出てない。
でも、一哉くんの存在を、全身で感じたかった。
心と記憶にぽっかり空いた穴は、一哉くんが埋めてくれて──それでいて余りありすぎることもわかっていたけれど。

今は。この腕があることが…嬉しかった。

「……ああ。ここにいる」

背中をさすってくれる手は、慣れていないせいかたどたどしい。
抱きしめてくれる腕も、力の加減を迷っているみたいで。

不器用さの中に、思いやりをたくさんこめてくれる。
それだけで、胸がいっぱいになる。

「俺は、少々のことでお前から離れたりしない。──わかっているだろうが」
「……えへへ。そうだね」

見上げれば、ちょっとだけ所在なげにしている綺麗な顔が見えた。
『お前に泣かれるのは苦手なんだ』と悪態つくさまに、半泣きの笑顔を投げかける。


大好きな人。


景色が、変わった。
心細いと思っていた明かりが、耳にうるさかった雑踏が、不安を煽っていた人ごみが。
たったひとりの存在によって、あたたかで確かなものになる。
安心感とにまた泣きそうになっていると、一哉くんもまた、少し表情をゆがめたのがわかった。


ああ。
一哉くんも不安だったんだ。

だんだんと力がこもってくるぎこちない両腕が、好きで。
眉間に寄せられた皺が好き。あたしを見つめてくれるまなざしが好き。
バカだなって悪態つく声のやさしさが好きだから。

この人が、好きだから。


普段ならば、絶対しないことなんだけど。
お祭りの雑踏と、薄暗い明かりにまぎれて。
ありったけの好きという気持ちを、背伸びした唇にのせて届けてみたかった。

あたしからの、初めてのキス。

 

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